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アカデミックアーティクル

■アリーダ・クラウス Music and Rhythm for Young Learners

  • キッズE-リンク アーカイブ
  • at 2008/3/14

子どもにとっての音楽とリズム

 

音楽、そしてリズムは、言葉を学ぶ子どもたちにとって欠かせない要素です。歌やチャンツがなぜ、こうまでも子どもたちに効果的なのでしょうか?

子どもたちは、言葉遊びも含めた「遊び」を通して世界を広げていきます。言葉の音や韻(ライム)をふんでいる言葉を繰り返したり、言葉をごちゃまぜにして反対に言ってみたり、全く意味を持たない言葉やチャンツをつくりあげたりします。言葉がどんな働きをし、それを使って何ができるのかということに対する自らの気づきを通して、彼らの今までの経験や世界観を体系化しているのです(Beaty, 1998)。

早期にライムに触れた子どもたちは、成長してから詩や言葉により興味を持ち、ナーサリーライムや歌に触れてきた子どもたちはリーディングへの適応が早い(Caplan & Caplan, 1983)ということが明らかになっています。これはもっともな話で、だからこそ外国語としての英語(EFL)を学ぶ子どもたちの先生もリズムやライム、英語の言葉遊びを取り入れた方がよいのです。でもどのように?どうやら歌には、これらの要素を活性化させる働きがあるようです。ライムや音楽を効果的に使い、子どもたちが今日英語を学ぶためだけでなく、将来に向けての蓄えとなる手助けをしてあげたいものですね。

歌う力は右脳によってコントロールされていますが、興味深いことに左脳がコントロールしている話す力が十分発達していなくても起こりえます。これは、英語を外国語として学ぶ子どもたちには特に重要なポイントです。どういうことかというと、英語で「話す」力が十分でなくても、英語で「歌う」ことは可能だということです。子どもたちは、全ての単語や意味を理解しているわけではないかもしれません。しかし歌ったり、先生や他の子どもたちとリズムに合わせてチャントしたりすることで練習できるのです。これは、言葉の習得には必要不可欠なことです。

音楽やリズムは、ただ話されている言葉と比べて、その言葉を真似たり覚えたりするのを容易にします。テレビやラジオのコマーシャルに関わる人たちは、短くノリのよい節や音の繰り返しこそ耳に残る、ということが分かっているのですね。私たちは覚えるつもりなど全くないのに!これを応用して子どもたちに歌を教えてみましょう。単語や文章だけでは覚えられなくても、どういうわけか耳に残って覚えてしまうものです。

歌やチャンツ、ライムは、正しい位置で強勢をおくことを余儀なくさせるので、英語のような強弱アクセントを持つ言葉には特に効果的です。また同時に、言葉の意味よりも音に集中させるので、子どもたちの発音向上に役立ちます(Reilly & Ward, 1997)。

「良い」歌は、明るくまた覚えやすいメロディーと楽しい言葉を使っています。「より良い」歌は、子どもたちが音楽に合わせてできるアクションを備えています。「一番良い」歌は、歌に適した言葉と音楽に合わせてできるアクションやダンスなどの動作、そのどちらも兼ね備えています。歌っている間に子どもたちが動作をする際には、記憶に動的記憶(動作と合致させながら覚える)も加わります。身体を使った動作は、子どもたちの興味を持続させ、歌に出てくる言葉を学ぶ前に十分楽しませてくれます。

子どもたちが椅子に座って静かに作業をするときでさえ音楽は役にたちます。研究では、音楽が学習に備えて脳をより受容性に富んだ状態にする、ということが証明されています。音楽を聴いているときは脳の機能が活性化し、音楽がより複雑な思考を導き出しているようなのです。また音楽は、感情、思考、学習などの結びつきを助長します(Woodall & Ziembroski)。

「たいていの子どもは、教室の場と教室を離れて友達と遊ぶ毎日の生活の場は別のものだと感じています。子どもたちの日々の生活の中で英語に中心的な役割をもたせたいと望むのなら、この境界を壊す方法を見つける必要があります。子どもが家に帰る途中で歌の1つでも鼻歌で歌ったりするようになれば、成功と言えるでしょう」(Paul, 2003)

 

参考文献
Beaty, J. J. (1998). Observing development of the young child (4th ed.). Upper Saddle River,
Caplan T. & Caplan, F. (1983). The early childhood years: The two to six year old. New York: Bantam Books.
Paul, D. (2003). Teaching English to children in Asia. Hong Kong: Pearson Education North Asia.
Woodall, L. & Ziembroski B. (n.d.). Promoting literacy through music. Accessed Feb. 20, 2008, from http://www.songsforteaching.com/lb/literacymusic.htm

 

 アリーダ・クラウス
 JALT(全国語学教育学会) Teaching Children Special  Interest Groupの設立メンバーであり、SuperKidsSuperTotsLongman Children’s Picture Dictionaryの共著者でもある。20年以上にわたって児童英語教育に携わり、世界各国で教師対象の研修やトレーニングを行う。近年では大学でも、児童英語教師を志す学生の指導にあたっている。