

子どもたち、特に年齢が低い子どもたちは、一日中でも歌ったり踊ったりして、遊びながら語いや文法、英語のリズムといったものを無理なく自然に吸収してしまいます。歌はレッスンが終わったあとでも子どもたちの頭に残り、家に帰ってからもその歌が頭から離れることはありません。そういう意味で歌は、とてもユニークな教材だと言えるでしょう。
しかし子どもたちの成長とともに、歌やチャンツは徐々にレッスンから締め出されていきます。なんとももったいない話です。外国語を学ぶ上で、学習対象言語のインプットはとても大切な要素です。分かりやすくて意味のあるインプットを提供する上で、歌ほど効果的なツールはありません。
子どもたちはいくつになっても(もちろん大人になっても!)歌を楽しむものです。でも幼稚園児や低学年生に提示するような方法で歌を紹介したら・・・子どもたちのやる気をなくす結果に終わるだけかもしれません。4、5年生にもなると、人前で歌ったり踊ったりすることに抵抗を感じる子どもも出てくるでしょう。「子ども」として扱われることに抵抗を感じるようにもなるのです。だからといって、歌そのものをレッスンから取り除いてしまう必要はありません。歌の取り入れ方にひと工夫加えるだけでよいのです。
ロングマン子どもピクチャーディクショナリーのトピック21を例に、高学年生クラスで歌を使う場合の5つのステップを紹介しましょう。
1. Listen and watch
季節の語い "spring", "summer", "winter", "fall" を導入(学習済みであれば復習)します。もし子どもたちがロングマン子どもピクチャーディクショナリーを持っているなら、トピック21のイラストを指差しながら進めるのもよいでしょう。持っていなければ、フラッシュカードや、ボードに描いた簡単なイラストで紹介できます。
それぞれの季節の意味にあたる、アメリカ手話(ASL: American Sign Language)を紹介します。(アメリカ手話が学べるサイトはこちらhttp://www.signingsavvy.com/)手話に合わせて単語も言うよう促すとよいでしょう。
次は例として、先生がトピック21のFour Seasons Song に合わせて、季節の語の手話をみせます(レッスン前に何度か練習しておいた方がいいですよ!)。子どもたちには、「歌を聞く」ことと「手話を見る」よう指示します。歌う必要はありませんから、子どもたちはプレッシャーを感じずにすみます。歌詞は以下の通りです。
The Four Seasons Song
I like spring.
I like summer.
I like spring.
I like summer.
I like winter.
I like fall.
I like all the seasons.
Summer, winter, spring, and fall. Summer, winter, spring, and fall.
Summer, winter, spring, and fall.
I like all the seasons.
LCPD_Topic_21_The_Four_Seasons_Song.mp3
LCPD_Topic_21_The_Four_Seasons_Song_KARAOKE.mp3
2. Listen and do
次に、子どもたちを座らせたままで、今見たとおりの手話をするよう指示します。座らせたまま、というのがポイントです。歌わせる必要もありません。歌を聞きながら、歌に合わせて手話の動作をするだけです。「歌う」のと比べて、子どもたちのプレッシャーは格段に軽くなります。歌に合わせて手話の動作をするのは子どもにとってかなりのチャレンジですが、十分楽しめます。しかし同時にしっかり意識して歌を聞かなければなりません。
3. Small group work
子どもたちを少人数のグループに分け、グループで手話を練習するよう指示します。少なくとも2回はFour Seasons Song を聞いていますから、歌詞やメロディーにも慣れてくる頃でしょう。グループワークの最中も、歌わせる必要はありません。グループごとに、歌に出てきた季節の語の手話を練習するだけです。Four Seasons Song を流す必要もありません。子どもたち自身のペースで練習させてあげましょう。教えなくても自発的に歌いながら練習する子どもを見受けるかもしれません。
4. Listen and demonstrate
いくつかのグループを指名し、前に出て手話を披露するよう指示します。練習の時間は十分取りました ― まず先生の手話を見て、全員で座ったまま手話を練習し、グループに分かれてまた手話を練習しました。クラスの前で「手話を」見せるだけなら大丈夫!ここでもまだ歌う必要はありません。
5. Listen and sing
さて次はようやく、歌と手話を一緒にやらせてみましょう。歌は少なくとも3回は聞いています。手話の動作にもそれほど抵抗がなくなってきた頃でしょう。今までの練習の間、特にステップ3、4の頃には、歌うよう指示されたわけでもないのに歌いながら練習している子どもたちを見かけることと思います。そして、このように歌を導入する本当のメリットは、歌があまり好きでない子どもたちでさえも、歌を使った手話などの練習を通して何度も歌を聞くことができる、という点です。ここまで5つのステップをクリアしたみなさんを待っているのは、次のボーナスステップです!
Bonus Step 6. Listen in your head
子どもたちは、歌が苦手な子どもも含めて、もうすでにこの歌が頭から離れなくなっていることでしょう!
歌、特にキャロリン・グレアム先生の歌は、レッスンで使うと先生も生徒もみんないつの間にか覚えてしまう不思議なパワーを持っているのです。
歌は、たとえ1歳だろうと100歳だろうと、学習者にとって限りなく効果的な教材となり得ます。教師はどのように歌を活用するか、学習者の年齢と照らし合わせて調整するべきなのです。どの学習者に対しても、歌の導入は時間をかけて、実際に歌わせる前に何度も繰り返し聞く練習ができるようにしましょう。
Have fun singing!
デヴォン・タガード
Super Simple Learning を主宰する傍ら、Super Simple Songs 制作にも携わる。Kids English Education Project(K.E.E.P) オーガナイザー。16年にわたる児童英語教育(ESL/EFL)経験を生かし、子どもたちはもちろん教師自身が自信をもって教育に取り組めるよう支援している。