

2009年12月にも、Carolyn Graham先生とご一緒に、東京・名古屋・大阪の3会場でワークショップを実施させていただきました。はやいもので、この The "Very" Special Workshop を始めて4年がたちます。今回は、これまで行ってきたチャンツの作り方の基本の学習からもう一歩ジャンプして、チャンツをツールとして自己表現をするということにチャレンジしました。その結果、おかげさまで、ご参加くださった皆様からの熱いリクエストにより、2010年の企画を考えさせていただいております。
午前中は、チャンツについての基本的な考え方や実際の作り方などのノウハウをCarolyn先生からご教授いただき、それぞれがチャンツを作って発表しました。それに対するCarolyn先生からの個々に対するコメントによる気付きと学びをもとに、午後はグループワークを行い、テーマやファンクションも自分たちで設定してチャンツを作りました。まったくの初めから、すべて自分で考えてオリジナルのチャンツを作ったのです。このチャレンジによって、参加してくださった皆様は、いつもCarolyn先生がおっしゃる「チャンツは誰にでも作ることができる」ということをより実感していただけたと思います。どの会場も、みなさん個性を発揮して、非常に面白いチャンツを発表してくださいました。
さてその午前中のセッションでは、チャンツの基本を学ぶ材料として、ロングマン幼児向けピクチャーディクショナリー のポスターパックを使わせていただきました。ピクチャーディクショナリーは、詳細なリサーチに基づいて選定した学習者に必要な単語がカテゴリー別に掲載されていますので、まずチャンツの作り方の基礎を学ぶときには非常に便利です。
ワークショップに先駆けて、私の生徒達と一緒にオリジナルチャンツを作ってみました。ここに、その1年生の生徒たちの作品をご紹介させていただきます。
Beetle, butterfly, bee
Beetle, butterfly, bee
Beetle, butterfly, beetle, butterfly
Beetle, butterfly, bee
(by Kento)
Spider, butterfly, worm
Spider, butterfly, worm
Spider, butterfly, spider, butterfly
Spider, butterfly, worm
(by Yuto)
これらは、ボキャブラリー・チャンツと呼ばれるものです。
ボキャブラリー・チャンツを作る際には、まず、選ぶ単語のカテゴリーを一つに絞ります。ここでは、ポスターパック『赤ずきんちゃん』の中から、虫のポスターを選びました。このカテゴリーの中にある単語をよく聞いて、音節がいくつあるかによってグループ分けします。
このようにしてグループ分けした単語の中から、1音節・2音節・3音節の単語をひとつずつ選び、パターンに並べると、Jazzyなリズムのあるチャンツが出来上がるのです。
次に、これらの名詞の意味を広げる形容詞として、色やサイズを表す言葉をつけて、フレーズのチャンツを作ることができます。生徒達には、ロングマン幼児向けピクチャーディクショナリー アクティビティーリソースブックの絵カードをコピーしたものに色塗りをしてもらってから、この段階に進みました。そして出来上がったのがこれらの作品です。
Light green beetle, red butterfly
Light blue bee, light blue bee
(by Kento)
Purple spider, blue butterfly
Orange worm, orange worm
(by Yuto)
子どもたちは、実際にはあり得ない色の虫たちを想像することがとても楽しかったようです。
このようにして出来上がった子どもたちそれぞれのオリジナルチャンツを、Carolyn先生からご紹介いただいたScott Joplinのピアノ演奏のリズムに乗せてみんなの前で発表してもらいました。この、ジャズのスウィングするリズムに乗せた話す英語のリズムというのは、子どもたちの体にすうっと染み込むようです。次のアクティビティに進んでからも、子どもたちは鼻歌を歌うようにずっと自分のチャンツを口ずさんでいました。
Carolyn先生のたくさんの作品の中の一つに、スペリング・チャンツがあります。チャンツのリズムを利用して、単語のつづりを覚えます。次にあげるチャンツは、Carolyn先生のチャンツの枠組みをお借りして、私が考えたものです。
How do you spell bug?
B-U-G
How do you spell bee?
B-E-E
How do you spell ant?
A-N-T
How do you spell butterfly?
Don't ask me!
子どもたちは、この "Don't ask me!" の部分が大好きで、思い思いに振りを付けて繰り返し言いながら遊びました。
余談ですが、実はこの一年生のクラスは、初めから保護者の皆様にご了解をいただき、いろいろなアクティビティを実験的に試行させていただくために設置しました。ですから、年間を通してのカリキュラムは設定していません。従いまして、これまでに筋道立ててアルファベットの文字を教えたり、ましてや単語のつづりなど教えたりしたことがない状態でした。ところが、このチャンツ作りをきっかけに、英語の音とその表記の関係に気がついたようです。それまでにも、自分の名前を書かせたり、お絵かきをした後にピクチャーディクショナリーを使って単語を見て書かせたりしてはいたのですが、何をどのぐらい習得しているのかを評価してきていませんでした。そこで、今年の1月のレッスンで12カ月の言い方を導入する際に、まず書かれた単語を見せて「何て読むと思う?」と問いかけてみました。そうすると、みんな当たらずとも遠からずの音で読むのです。
何度も繰り返し発音しながら、ポスターなどの教材によって、文字で書かれた単語を目にすることにから、自らフォニックスのルールに気が付き始めたようです。教え込むよりも確実に、音と綴りの関係が身についてきていることを実感しました。
さて、このポスターですが、単に単語をカテゴリーに分けて紹介してあるだけでなく、その後ろに『赤ずきんちゃん』のお話が設定されています。ちなみに、もうひとつのポスターパックは、『三匹のくま』のお話です。このお話に注目して、次のようなチャンツを作ってみました。
Once there was a girl, a good little girl.
A good girl, a little girl, a good little girl
Along came a wolf, a big bad wolf.
A big wolf, a bad wolf, a big bad wolf
このチャンツでは、お話の登場人物を紹介することの中に、形容詞の順番を学ぶという目的を入れました。
もうひとつ、これもポスターの絵を良く見て、それぞれのキャラクターに興味を持ち、この後のお話に入っていくための準備として作ったチャンツです。
What does the girl have?
A basket.
She has a basket in her hands.
What does the wolf have?
A hat.
He has a hat on his head.
このチャンツを導入しておくと、後々になって三人称単数の主語の場合の動詞の形を教える際に「ああ、そうだった」と気付く材料にすることができます。そして、質問の答えとしてまず答えの中心となる単語だけを言い、その後にフルセンテンスで答えるパターンにしたことで、センテンスを言う時にはどこにアクセントを置くべきなのかを、言葉で説明しなくてもクリアに伝えることができました。さらに、この次には、お話の世界から離れて、お友達が実際に持っているものについて、この会話を広げていくことができるでしょう。そうなると、in と on の使い分けについても、言葉で説明しないで導入するチャンスがたくさん広がります。
このように、チャンツを利用することによって、英語学習の過程をとても楽しいものにしていくことができます。そのチャンツが、生徒達の今のニーズを的確に把握している先生によって作られたものであれば、学びの効果がぐんと上がることは言うに及びません。
オリジナルのチャンツを作る際には、次の3つのポイントに気を配ってください。
1. 実際に使う場面のある英語表現を取り入れているか
2. 学習者の年齢に応じた英語表現になっているか
3. 学習者が面白いと感じられるような内容か
2010年も、11月から12月の時期に、Carolyn先生との一日ワークショップを開催させていただく予定です。ご興味をお持ちいただいた方がありましたら、情報を随時アップしておりますので、時々JJ Fellowshipのサイトをチェックしてくださいね。(www.JJFellowship.com)
ハビック真由香
JJ Fellowship代表。指導者や保護者を対象としたセミナー・ワークショップや、子どもたちを対象としたイベントを開催している。教材開発と販売を手がける有限会社イー・フォー・ユー取締役。レゴ エデュケーション センター公認トレーナー。