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アカデミックアーティクル

“親こそ、子どもが最初に出会う『教師』です。親が思いやりの心をもって子どもを育てることで、両者の間には情緒的な結びつきや愛着が育つのです。(中略)したがって学習への動機づけとは、子どもと、その子にとって重要な大人との関係があってこそ育つのです。” James Comer氏によって設立された、アメリカのYale Child Center School Development Programでは、こう述べられています。

これが真実であることは、教師であれば分かるでしょう。しかし『子どもの教育に対する親(保護者)の関与』というトピックへの私たち教師の反応は一様ではありません。「親は干渉ばかりして、子どもたちのことも、子どもたちへの教育についてもよく分かっていない」と強硬に反対する教師もいれば、親が関与することに対して不安やおそれを抱く教師もいます。いい考えだ、と思いつつ、一体どこからどう手をつけたらよいものか分からず、様々な忠告に押しつぶされてしまう教師もいます。このトピックに関して私たちがどう感じるか、ということはさておき、一考に価する極めて重要な事実があるのです。

  1. 子どもが教室で伸びる第一の鍵、子ども自身の持つ背景や、その子どもが育てられる社会経済環境、保護者の学歴などといったことよりも重要な要素は、『子どもの教育における親の関与』である
  2. 親が子どもの教育に関与しない場合よりも、親と教師が互いに協力しあう場合の方が、より大きな成果が得られる
  3. 親は教室の外から、教室の中での出来事を支援する教師の支持者であり、支え、そしてまた友である

私は自分が教えた子どもたちを通して、実際にこれらを目にしてきました。自分の経験だからこそ、これが真実だと言えるのです。では私たちは何を指して『親の関与』とし、この年齢の子どもたちにとって最善の環境をつくりだすことができるのでしょうか。

まず何よりも重要なステップは、教師と親とのコミュニケーションです。特に幼い子どもたちのクラスでは、親が一緒に教室にいる方がよいかもしれません。子どもの英語力に関することや、子どもに教える上で最善の方法であるとか、まして子どもが今現在何について学習しているのか、といったことを親が十分に理解するため、という主旨のものではなく、親が、家庭に戻ったときにどのように『教室での子どもの学び』をサポートするかを親自身に任せるためです。こういったことを教師が親に伝える前に、しっかりとしたコミュニケーションの基盤を築いておかなければなりません。これがのちに信頼関係へと発展するのです。信頼関係があってはじめて、親は子どもの教育に関する自身の役割について耳を傾け、そこから『親の関与』へと発展するのです。

こうしてこのトピックに関する様々な感情を乗り越えた上で、『親の関与』が子どもの成功への鍵となることを知ると、私たち教師はいかに親とよい信頼関係を築くか、ということにも尽力する必要があることがお分かりいただけるでしょう。この礎があってこそ、子どもの教育における『親の関与』へと通じる ―たとえ親が忙しく、教室という学習環境になくても― ことができるのです。

次回は引き続き、親との信頼関係をどのように築いたらよいのか、そして『親の関与』を、また子どもにとって最善の学習条件を整えるにはどうしたらよいのかについてお話ししたいと思います。

 

参考文献:

School Development Program, Yale Child Study Center (2001) The Parent Team
Accessed from /info.med.yale.edu/comer/about/parent.html
Comer, James P.M.D (2001) Schools that Develop Children, The American Prospect Vol 12 no 7
Cromwell, S. (1998) The Homework Dilemma; How much should parents Get Involved?, Education World
Delisio, E.R. (2005) Planning for Parent Involvement, Education World
Diffily, Deborah (2004) Teachers and Families Working Together, Pearson Allyn and Bacon
Lovell, K (1973) Educational Psychology and Children, University of London Ltd
Olsen, B & Fuller, M. (2003) Home-School Relations Working Successfully with Parents and Families, Allyn and Bacon
Poole, B.J. (2004) EDUCATION FOR AN INFORMATION AGE Teaching in the Computerized Classroom, 5th, William C Brown Pub.
Senge, P et al. (2000) Schools that Learn (A Fifth Discipline Fieldbook for Educatior, Parents, and Everyone who cares about Education), Currency Doubleday

 

佐藤ケイト

1989年よりヨーロッパ、アメリカ、日本などで英語教育に携わる。17年前に来日、2003年よりキトピア英語学校(札幌)を主宰。自ら幼児・児童英語教育に携わる傍ら、ピアソン・ロングマン アカデミックコンサルタントとして児童英語教育関連の寄稿をはじめ、国内外でセミナーを行う。キンダーミュージック認定講師。ETJ、JALT TC-SIGなどの北海道地区コーディネーター、ケンブリッジ国際児童英語検定の口頭試験官も務める。